わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫)
レビュー ![]() 文章の巧みさと面白さ
後半は上巻の最後で特攻隊員を涙で送った著者が、日比谷の東宝劇場を急遽米軍用に改造した「アーニー・パイル劇場」のステージで、超満員の米兵を前にアメリカの流行歌を歌っているところから始まる。「人には言えない、妙なうしろめたさが、私の背後に忍び寄って」くるが、「人々は食料を奪いあって道義は地に堕ちた」とも書く。
戦後の東宝大争議に巻き込まれて当時の「赤いスタジオ」の様子を描き、また自殺直前の意外な太宰治の印象や、恐れ多くも昭和天皇・皇后両陛下に御植樹の介添え役で会われたエピソードを書いている。これらの描写が抜群にうまくて面白い。あまりにうまくて解説で沢木耕太郎氏がゴーストライターの存在の有無を書いているほどであるが、その疑いはその後多くのすぐれた著作を残していることで明らかである。仕事は猛烈に忙しかったが、母親との確執はますます先鋭化し、プロデューサーとの金銭トラブルや深みにはまった泥沼の男女問題も生じていた。これらを一掃したくてパリに逃避行するが帰国後も人気は衰えず、「二十四の瞳」などの代表作を残した。 尊敬する小津安二郎、谷崎潤一郎、梅原龍三郎、木下恵介、成瀬巳喜男らとの交友は写真も載せて楽しい読み物になっている。沢木は「言いたいことを言いたいように書く。容易そうに見えてこれほど難しいことはない」と書き、それをいとも簡単にやってのける著者の才能をほめているが、自伝の場合は特にそうだ。著者は恥の上っ面だけ撫でたような気がして不満が残るというが、身内のことや金銭、男女問題などかなりきわどい話も赤裸々に書かれていて、飾りッ気のない著者のさっぱりした性格が反映されている。 読み終わって気持ちが暖かくなりました。
世の中すごい女性がいるものだと思いました。独特のリズムの良さに上下一気に読んでしまいました。5歳からの女優業、小学校も満足に行っていないという著者の言葉ですが、世間が周囲の人々が立派な学校でした。人生を社会を深く見つめる著者の確かな瞳の力にすっかり魅せられてしまいました。すこし大げさですがこの本と出合えて本当に良かったと思います。多くの人々、政治家も評論家もマスコミ人にもそして市井の人々に是非読んで欲しい本です。沢木耕太郎の解説もいいです。
ポツダム宣言から。
上巻は彼女の出生から昭和20年の戦争までが描かれ、
下巻はポツダム宣言から、50歳までが描かれています。 これ、文庫本としてはボリュームもたっぷりで、 上下で800頁近くもあるのですが、私はお風呂の中にまで 持ちこみ、数日で読んでしまいました。 川口松太郎が「人生の指導書」と絶賛した、と裏表紙に 人生をかじり始めた私でも面白く、また勉強させられ、 大正13(1924)年に生まれて、こんな自由なものの見方が 少しでも多くの人に読んでもらいたいです。
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クリエーターは「高峰 秀子」です。 この商品を買った人は他にも「わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)」、「コットンが好き (文春文庫)」、「台所のオーケストラ (文春文庫)」、「おいしい人間 (文春文庫)」、「にんげん住所録 (文春文庫)」、などにも興味を持っています。 わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)
レビュー ![]() デコさんはこの上下巻から読みました。(?o?)
画伯の絵が印象的だったので、この上下巻から、デコさんの本は読みました。それが、
よかったのか、どれを読んでも面白くてたまりません。 銀幕とは裏腹に
この本は上下2冊からなっていて、上巻は著者の生い立ちから太平洋戦争が終わるまで、下巻は戦後から松山善三氏と結婚するまでを描いている。
「文庫版まえがき」に本を書いた経緯が書かれてあるが、当時週刊朝日の編集長だった扇谷正造氏が昭和50年の記念プランとして連載エッセイを頼みにきたのは49年の末だった。著者はあまりに強引な勧誘に半分やけになって引き受けたと書いてあるが、恩師山本嘉次郎監督の死去が49年の9月でその葬儀があまりに寂しかったと本に書かれてあるのを読むと、書いたのは山本氏の死去と無縁ではなかったと思われる。 著者の銀幕でのきらびやかな活躍とは裏腹に私生活では複雑な養父母との関係や東海林太郎が別の養父として現われたり、ろくに学校へ通えない環境など多難な日々を送っていた。著者の青春時代は戦争と重なり、血染めのブロマイドの話や「同期の桜」を特攻隊員の前で歌って途中から涙で歌えなくなると、それに誘われるかのように隊員も泣き出したというエピソードを添える。若き日の黒澤明助監督との淡い恋の描写は秀逸。谷崎潤一郎や田中絹代など豊富な人間交流を丁寧に描写しており、貴重な写真も数多く載っていてそれも楽しい。 20代の私でも。
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高峰秀子さんは、そういう女優さんがいたという
知識ないまま、雑誌の文章で知りました。 養母さんが亡くなった時のことを書いておられた と思うんですが、筆者の生い立ちや文章力にひきこまれて 見たこともないのに強く印象づけられました。 その後TVで「放浪記」を見て 「こんな個性的な上手い女優さんだったんだ」と思いさらに 興味もちました。 「わたしの渡世日記」は、女優としてよく 上下ともいいのですが、特に彼女の少女時代について
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クリエーターは「高峰 秀子」です。 この商品を買った人は他にも「わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫)」、「コットンが好き (文春文庫)」、「台所のオーケストラ (文春文庫)」、「おいしい人間 (文春文庫)」、「にんげん住所録 (文春文庫)」、などにも興味を持っています。 高峰秀子の捨てられない荷物 (文春文庫)
レビュー ![]() 読んでも読まなくても
この本は性格上「わたしの渡世日記・その後」という位置づけになるのだろうが、別に読まないのであればそれでもいい、あの本はあそこで完結しているのだから。読んでみるとすれば巻末の「ひとこと」と題した高峰秀子の短文と夫・松山善三氏撮影による高峰の近影だろうか。
本の前半は「わたしの渡世日記」の内容を補足的に説明しながら、著者と松山・高峰夫妻との関わりを綴ったもので、後半は養母・志げの引取りを巡る親族間で起きた裁判沙汰の件と松山・高峰夫妻自身について書かれてある。著者が夫妻を恩人と思い、会えたことが奇跡とまで絶賛している以上、そこに書かれてあることは割り引いて考えなければならない。 記述されていることの大半は誇張がやや含まれているとはいえ本当のことなのだろうが、書かれてないこと、敢えて書かなかったことが多々あるように思える。この本のままだとこの二人は特別な夫婦のようだが、松山・高峰共著の「旅は道づれツタンカーメン 」を読むと、この年代のどこにでもいそうな御夫婦に思えるのだが。 正直後半は読むのがつらかったが、高峰が引き算にてこずっている描写には思わず涙が溢れてきて胸が熱くなったのは告白しておこう。 名作の解説のような・・・
高峰秀子の名作「わたしの渡世日記」の副読本あるいは補足版とでも言うべき本です。
もっと知りたいファン心理で読んでしまいましたが、他の評価にもあった通り、本人自身が書いたものを読めば十分であり、同じ本を2度、思い入れと感情が入り過ぎた解説付きで読んだような印象です。エッセイの中で高峰さん自身が率直に綴ったことは、その時点でその表現で整理できたものであり、もっと書けば書けたのにそうしなかった。つまり読み物として抑制と客観性があり、なお十分魅力が伝わってくるものです。 著者と松山ご夫妻との関わりが述べられている中で、かつて高峰さんの親戚がお金をむしり取っていくように、著者がお金の変わりに高峰さんの心を奪い取っていくような相当に負担をかけた出来事が繰り返し出てきます。自分も彼らと変わらないことをしていたと著者自身述懐しています。 一度書かれた本を、それはこういう事だったと、証拠をあげて詳細に論じていくのは、皮肉な言い方をすれば結局は彼女をまた利用しているような気分にさせます。そして読んでいる自分もそれに加担したような後味の悪さを感じてしまいました。 根底に著者の松山夫妻への尊敬・愛情があり、大好きな二人をもっと論じたいという情熱がある。しかもここまで詳細に書くことを許された信頼関係もある。それがわかっていても、できれば別な視点から著者ならではの独自性をもって書いて欲しかった。後半そういう部分が出てきて幾分救われました。 タイトルが意味深
高峰秀子という大女優のことは母から聞いたり、山田風太郎のエッセイで知っているだけなのですが(汗)、この本でその愛すべき聡明な人柄を知り、俄然興味がわいてきました。筆者の思い入れがあまりに強すぎて、途中読み進めるのが苦しくなったほど。だって、筆者は高峰夫婦から子供扱いされ、自分を子猫になぞらえているのだが、その時の筆者の年齢は40代・・・ちょっと引きます。ただ、娘の立場になった彼女にしか書けなかった本ではあると思います。
高峰秀子は、幼少期から背負わされた今の時代ではありえない荷物をひとつずつ降ろしていったんだなぁ、とその並大抵ではない人生に頭が下がる思いです。高峰夫婦の生活の描写はとてもイキイキしていて、70代の夫婦とは思えません。こういうふうに年を重ねていけたら理想的ですが、品格も気骨のない昭和生まれにはムリかも・・・ 高峰は亡くなった養母を今でも「ブタ」と呼んでいる
高峰の自伝は「彼女自身の30歳までの姿を描いた」ものではなく、正確に記すれば、高峰の自伝は1976年5月23日から同年11月14日号までの週刊朝日の掲載文をまとめた物であり、この時、高峰は47歳である。
斉藤明美は公私に渡り高峰秀子、松山善三夫妻に深く関っており、その5年間の結晶ともいえるべきものがこの本であろう。斉藤自身、決して「評伝」のつもりで書いているわけではないのは、高峰を「かあちゃん」と呼称する時点で自明である。 斉藤の文章は好みのはっきり分かれるところであり、これを否とする人は単に斉藤に対する「嫉妬」でしかない。かくいう私も斉藤には嫉妬するが(苦笑)、それ以上に斉藤明美の夫妻に対する執着にあっぱれマークを示さざるを得ない。 高峰の自伝が素晴らしいのは誰しもが認めるところではあろうが、この斉藤の著作には、自伝では描けなかった部分、つまり、高峰の思い込みによる「誤った認識」を客観的事実(証拠)をつけあわせることにより本人に問いただすところまでを描けており、その意味では「自伝を正しく読み解くためのガイド本」としての位置づけが良かろう。 現在、婦人画報の連載にて斉藤の高峰に対する筆は益々奮われているが、「本当の高峰」を知る唯一の生き証人(=娘)としての斉藤に、今後も益々期待したい。ちなみに高峰松山夫妻に子供はいない。 これを評伝と思う高峰エッセイファンはいまい。
「評伝」を期待したり、「自伝以後の(30歳以後の)高峰秀子」を知りたい人には向かない本。つまりまだこの世に、この方の伝記は存在しません。しなくていいと思います。
ご本人の素晴らしいエッセイを知っていると却って引いてしまいます。 むしろ、ご本人のユーモアと強さを兼ね備えたエッセイから垣間見る姿だけの方が、ここまでベタ褒めされるより素敵だと思いました。 この本は、「高峰秀子と親しい」ことを売りにした「自分と高峰秀子の関りを描いたエッセイ」に過ぎません。 しかも、では彼女が高峰秀子という生き方に触れてどう生きていこうと考えているのかもわからないし、結局は1冊使って自分の好きな人を褒めているだけなのです。でも、それでは、エッセイを読んでとっくに高峰さんのファンである私は物凄く引きました。 別にそれでもいいですが、だったら、「評伝のふり」をしないでほしいです。 内容は、既にご本人のエッセイのファンなら誰でも読んだことがある話ばかりで、終盤はやや、ご本人が書かなかった、老母の介護をめぐる親戚との裁判、日常のタイムスケジュール、結婚前後のエピソード、夫婦愛(これだってエッセイが素晴らしい)がついているだけ。でも、何もかもを書かないからといってご本人のエッセイが物足りないわけではないのだし、親しさ故に色々知っているからといって、評伝になるわけではありません。 別に色々とこの本で新しいことを知ってもイメージが崩れるなどということはさらさらありませんから、「本人が書かなかったことを書くな」と怒っているのではありません。あくまでも、自分自身のスタンスを取り違えて「評伝」のつもりであることが困るのです。正直、これでは、「伝記」を渇望している人々に売りたいだけか、とさえ思ってしまうほどです。 高峰さんを知りたい人、ファンは、絶対にご本人のエッセイから先に読んで下さい。特に自伝を読んで下さい。 この本から入る、ということさえしなければ、高峰さん関係のものは全部読みたい、というファンに、読むなとは言えません。
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クリエーターは「斎藤 明美」です。 この商品を買った人は他にも「わたしの渡世日記〈下〉 (文春文庫)」、「わたしの渡世日記〈上〉 (文春文庫)」、「台所のオーケストラ (文春文庫)」、「コットンが好き (文春文庫)」、「にんげん住所録 (文春文庫)」、などにも興味を持っています。 |