墜落遺体―御巣鷹山の日航機123便 (講談社プラスアルファ文庫)
レビュー ![]() 辛い、悲しみの記録
読み進むのがこんなに辛い本もありませんでした。ひとつには事故そのものの凄惨さ、もうひとつは著者の携わった検屍作業の凄まじさ、からです(航空機の墜落に至る経緯などは割愛されているので、ご存知ない方は調べてから読んだ方が良いと思います)。
自分は、「死にかた」によって、その人の生きざま自体に何ら汚点が付くものでは無い、と思ってはいますが、墜落の瞬間までに地獄のような恐怖を味わった乗客の方達が、なぜこんな変わり果てた姿で遺族と再会しなければならないのだろうか…と、何度もやるせなく感じました。「仕事」の範疇を越えて、誠心誠意、作業に関わった多くの方たちにも頭が下がります。 時が過ぎても決して忘れてはいけない悲しみがある、と改めて思いました。 律儀な日本人の死との付き合い方
例え骨のかけら、肉片一つになってしまっても、かけがえのない愛する人の一部であった遺体を帰るべき所へ持ち帰り、惜別の念を伝えたい。あるいは、形見を手元に末永く置いておきたい。運悪く最悪の飛行機事故の犠牲になった人々を、遺族の元へきちんと返してあげたいという執念にかられた警察や医師、そして看護婦などの活動を記した壮絶なノンフィクションである。
一般的には日本人が宗教的な意味での強い信仰をもたないことに安心感を感じる自分なのだが、ここまで繊細に身元確認を誤らないように粘る人々の存在に、日本人の既存の宗教を越えた世界観を見る思いがする。遺族の遺体に対する対応を比べ、外国人のある意味ドライな死生観に拍子抜けする筆者の描写があるが、外国人の犠牲者が少数なことを考えれば、その部分を必ずしも一般化できるとは思わない。しかし、例え「指先一つ」の遺体でも遺族の元へ返すことが責務であると当然のように身を削りながら行動する筆者らの律儀さに、良くも悪くも日本を日本たらしめている文化を感じた。こういった、いたわりの心は、日本に生まれた人間としては、いつまでも忘れたくないものである。 凄惨な現場が容赦なく描かれるドキュメントだが、遺族の事を思えば涙なくして読むことが出来ないと同時に、一瞬を生きるということの大切さを感じさせてくれる作品だ。 こんな事があったのかと、、初めて知る悲しみ
内容は、事故現場にあたった人達の奮闘の記述ですが、
おそらく大半の人間にとっては一生涯、縁の無いような惨状なので、 当事者でもないとまず実感そのものが湧きにくいし、 まずは、「大変だったんだな…」という感想しかありません。 改めて、人間は臓器の袋なんだとも思いました。 当然、自分も乗っていれば凄まじい衝撃を身体に受け、 皮膚が裂けたりして臓器が飛び散っていたことでしょう。 それだけの悲惨なリアルが、冷静に記述されている本です。 こんな事故は二度と起こってはいけないし、 もう二度と起こる事もまず有り得ないでしょう… だからこそ、この惨状がある種の異質のようにも思え、 この事故で沢山の命が終わってしまったのに、 様々な異説があったり、絶対に認められない再調査、 未だに原因には疑問符がついてまわり… そういうのと合わせて、読後に空虚な気分にもなりました。 個人個人で、また立場や年齢によっても、 大小いろんな感想があると思います。 自分にとっては、この本は良くも悪くも実感が湧かないリアルでした。 でも悲しみは解りました。重い本です。 事件を知らない世代の人も、興味があったら読んでみて下さい。 何度読んでも涙が出ます。
事故当時、私は小学高学年で何か大変な事故が起きたんだな、ぐらいの印象しかありませんでした。
それでも、わずかな生存者の救出場面はいまだによく覚えています。 あんなにバラバラになった飛行機に乗っていながらよく助かったなと。 あの頃はまだ子供だったから、どこか他人事のような観点でしか見られなかった。 今、大人になって結婚をし、子供を産んで育てて 自分自身の大切な家族ができた今、改めてこの本を読んで衝撃を受けた。 あの時、自分とは無関係な世界で起きた事だと思っていた。 実際はこんなにも悲しく悲惨な事故だったとは、あの頃は解っていなかった。 突然大切な家族を奪われた遺族の、言葉にはならない悲しみや、 何とか遺体を家族の元に返してあげようと奮闘する警察や医療関係者の方々の努力、 凄まじい現場の中で回収作業に従事した方々の努力、 読むたびに、現場の方々に頭が下がります。そして 死の直前に書かれたメモを読んで、 どんなに無念だっただろうと思うと涙が溢れます。 子供の損傷遺体の描写も、何度読んでも胸がしめつけられ涙が止まりません。 こんな事故はもう二度と、あってはならない。 混 沌
初めて読むのに「前に読んだことある」と思う所が、何か所も出てきました。吉岡忍著『墜落の夏』と同じことが書いてあるのです。
誰が何を何から引用したのか、私にはわかりません。 この本も、どこまでが筆者の体験で、どの部分が引用なのか、さっぱりわかりません。筆者は、後世に残すべき重要な体験をしています。筆者が体験したことだけを書いて欲しかったと思いました。そして、どうしても引用する必要があるのなら、引用した箇所や出典を明らかにすべきです。 本書は、涙なくして読めないところがあります。 その部分は引用ではなく筆者の体験だったと、良い方に解釈して 星3つ。
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レビュー ![]() 深く考えさせられる一冊
・娘を失った夫婦の葛藤−
・生後三ヶ月の赤子の手に握られていたもの− ・生存者同士の複雑な胸中− この本の中で特に心を打たれ、涙したエピソードです。 犠牲者、遺族、関係者など多くの方が恐怖や悲しみ、怒りや戸惑いを感じなくてはならなかった(今も感じておられるであろう)こと、 しかも何の前触れもなく、非常に理不尽な仕方で厳しい現実と向き合っていかなければならなくなったこと、 その方々の心中を少し想像するだけで胸が痛み、いたたまれない気持ちになります。 何事もない平々凡々な毎日−これがどれほど幸せで感謝すべきことか、改めて考えさせられました。 つい愚痴をこぼしたり、自己憐憫に陥りそうになる時、この本や前作「墜落遺体」で取り上げられた方々のことを思い出して前向きに生きていこうと思います。 こうした不慮の事故に巻き込まれた方々には、でき得る限りの援助やケアをしてほしいし、してあげたいと切に願います。 良質かつ丹念な後日譚記録集
「墜落遺体」で、圧倒的な事実と描写にぐいぐいと引き込まれてしまいましたが、
そこに流れるテーマとして「修羅場を廻しきったのは、ひとりの英雄などではなく、 数多くの普通の人々で構成される組織体であった」ということがあったと思います。 続編となるこの本では、その組織体を構成していた人たちを丹念にインタビューし、 自分もその組織体の一員であったことを交えながら、筆を進めています。 この手の本は扇情的になったり、個人の英雄譚や批判で埋め尽くされる例が多いですが、 あくまでも、トーンは冷静でありながら、そのとき現場にいた人から生の言葉を 拾っています。 例えば、 日航社員で遺族の「お世話係」になった人。 霊柩車や棺の手配を行っていた人。 何気ない一言がマスコミのネタにされ、風評被害に傷ついた人。 また、こういう修羅場に群がる輩についても。本当に腹立たしいことですが、事実です。 その中でもっとも感銘を受けたのは、日赤看護師についてのくだり。 普通の病院勤務看護師と同じに考えていたのですが、日赤看護学校出身で日赤病院勤務の 看護師さんは、こういった非常時のための講習を受けているのですね・・・ 日本赤十字社には一目おいていましたが、さらに感銘を受けました。 123便の悲劇については、謀略説まで含めて沢山の本が出ておりますが、「墜落遺体」と この本は必読書と思います。 多くの犠牲と無償の愛
まず取材数の多さに感服しました。
それだけ日航機事故には多くの方々が犠牲になり、何らかのかたちでそれに関わった方々もその何倍もおられたと痛感しました。 関わった人には忘れられない夏と現在を温かい眼差しで取材しているのが目に浮かびました。 著者自身もその時分は忙殺され、事故に関わった多くの人々の「そのとき」を知りたかったのかもしれないと思いました。 戦友みたいな気持ちで尋ねて歩く姿が犠牲者への供養になったと思いますし、ご遺族のその後に安堵したり、と報道でしか知らなかった一個人の私にも大切な思い出や教訓などが共有できるような目線で書いてあり、好感が持てました。 特に山付近に住んでらっしゃる方々のレポートが好きです。 ただ取材数が多すぎてまとまりがないような気がしました。 著者としては「この話もあの話も盛り込みたい」という気持ちが働いたのかもしれません。 事故に関わられた方々にお疲れ様と言いたくなる本です。 そして今後も慰霊に携わっていく方々には身体に気をつけて頑張ってくださいと。 本当に忘れてはならない事故だったと思います。 時間の流れを感じた
私も「墜落遺体」を先に読み、著者に興味が湧いたとともに
もっと事故のことが知りたくて、この本を読みました。 当時の自衛隊員の話など裏話がいろいろ書かれていますが、 やはり遺族を訪ねている章が一番心にきました。 事故当時、小学生だった遺族は立派な大人になり、若い女性の 母親は夫に先立たれ、孤独な老後を送っている。 もし、あの事故がなかったら今は孫の一人や二人もいて、 娘夫婦と賑やかに暮らせていたのかもしれない・・・そう 思うと胸が苦しくなりました。 人の人生なんて、何が起こるかわからない。改めてそう考えさせられた 本だった。大きな不幸が降りかかっていない今の自分を幸せに 思う。 真実を初めて知りました。
著者の前作『墜落遺体』を読んですぐに読み始めました。時間が経つのも忘れるほど読み耽り一気に読みました。表面的にしか分からなかった事故のこと、裏の裏までよく分かり、人の温かさ、人の冷たさの両面が見えた気がします。もし、私だったらどうしていただろう?全身全霊 誰かのために力を尽くすこと出来るかな。。出来る人になっていきたいと思います。
墜落現場 遺された人たち―御巣鷹山、日航機123便の真実 (講談社プラスアルファ文庫)を見てみる
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