Standard of 90’sシリーズ「風の歌を聴け」(紙ジャケット仕様)
レビュー ![]() 08年でも聞いている 90年代の最高傑作
未だに車で聞いています。このアルバムのロックとソウルが織り成すグルーブ感とそのリズム隊、キャッチーなメロディー、ボサノバ風などオリラブ全盛期の感動もののアルバムです。田島貴男の深みのあるボーカルと声量もよし。「ROVER」でぶっ飛んで、「朝日のあたる道」で閉めるストーリーは、発売当時、ドライブで朝まで聞きまくりました。
このアルバムは、日本の音楽シーンを変えるほどの影響力があったと感じます。聴き手に音楽の幅を拡げた、まさしく90年代の日本をスタンダードといえます。
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クリエーターは「オリジナル・ラヴ」です。 この商品を買った人は他にも「Standard of 90’sシリーズ「結晶」(紙ジャケット仕様)」、「Standard of 90’sシリーズ「EYES」(紙ジャケット仕様)」、「Standard of 90’sシリーズ「LOVE!LOVE!&LOVE!」(紙ジャケット仕様)」、「Standard of 90’sシリーズ「SUNNY SIDE OF ORIGINAL LOVE」(紙ジャケット仕様)」、「Standard of 90’sシリーズ「SESSIONS」(紙ジャケット仕様)」、などにも興味を持っています。 風の歌を聴け
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クリエーターは「ORIGINAL LOVE」「田島貴男」「木原龍太郎」です。 この商品を買った人は他にも「RAINBOW RACE」、「Desire」、「ELEVEN GRAFFITI」、「L」、「ムーンストーン」、などにも興味を持っています。 千の風になって~新しい日本の抒情歌
レビュー ![]() 鮫島有美子の素晴らしい歌唱と素敵な曲との出遭い
ソプラノ歌手鮫島有美子がニュー・ミュージックや歌謡曲の中から歌い継ぎたい名曲を披露しています。普通このような企画は、意図とは別に上手くいかないことが多いのですが、このアルバムは成功していますね。
鮫島有美子はヨーロッパを拠点として活躍しているオペラ歌手ですが、クラシック歌手特有の表現過多の発声ではありませんからとても聴き易い歌となっています。 尾崎亜美「オリビアを聴きながら」、荒井由実「翳りゆく部屋」、谷村新司「いい日旅立ち」、井上陽水「傘がない」、小田和正「言葉にできない」というニュー・ミュージックの名曲を情感たっぷりに感じ良く歌っています。宮川彬良の編曲に助けられている面もあるのでしょうが、プロの歌手は初見の楽譜でも歌いこむことによってジャンルを問わず自分の歌へと消化していくのですね。 谷川俊太郎作詞、武満徹作曲の「死んだ男の残したものは」はシャンソン風に歌われています。感情を込めて重く歌う鮫島有美子の歌からは、長年のキャリアから裏付けられた人生の重みが感じられ、印象に残る曲となりました。 秋川雅史の歌唱で評判になった「千の風になって」がラストに収録されています。私は、秋川雅史より鮫島有美子の淡々とした歌唱の方が好きですね。亡くなった方が自然の中に存在しているという歌詞の持つ意味を考えますと、このようにさらっとした歌い方もまた心に染み入ると思いました。 森進一の「はな」、神野美伽の「手紙」も素敵でした。元歌を知りませんが、鮫島有美子の歌唱は歌詞の持つ意味を的確にとらえ深い表現をもって提示しています。この2曲の良さは聴いて頂かないと分からないと思います。
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クリエーターは「鮫島有美子」「小田和正」「谷川俊太郎」「新井満」「阿久悠」「荒木とよひさ」「尾崎亜美」「荒井由実」「三浦雄一郎」「谷村新司」「武田鉄矢」です。 この商品を買った人は他にも「鮫島有美子「ディスカヴァー2000」(2) 秋桜~私の青春のうた(2)」、「鮫島有美子の四季」、「日本のうた~全曲集」、「ローレライ~ヨーロッパ愛唱歌集」、「鮫島有美子「ディスカヴァー2000」(1) 夜明けのうた~私の青春のうた」、などにも興味を持っています。 風の歌を聴け [VHS]
レビュー ![]() 村上ファンは嫌うが・・・、面白いです
何だか80年前後が懐かしく感じられた。真枝寺君江が実に美しい。小林薫、室井磁などの若い頃も観れます。
村上春樹の原作ファンの評判は非常に悪いが、新しいところがないにせよ、ATGだけあってか結構楽しんで観れた。小説とはぜんぜんちがうものだけど、少なくとも自分は、観た後に何かが心に感傷を残した。大森一樹作品の中では観る価値があると思う。
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レビュー ![]() 映画は小説と別物と考えるべきだろう。
81年封切のATG映画。原作小説は阪神間を意識しつつも、あまり特定の街が舞台だと感じさせず、台詞も標準語で普遍性の高い作品であった。それを現実の神戸・芦屋・西宮の街をはっきり舞台として具体的に映像化するに際して、台詞が標準語のままというのは違和感がある。かといって、関西弁にしたら原作の持ち味が損なわれる。また、原作では架空の作家デレク・ハートフィールドにしばしば言及するが、これをそのまま映画に持ち込むのも難しい。そういう無理を承知で、原作小説を素材にしながら、原作にないシーンを加える等した映像作家・大森一樹の作品として評価すべきだと思う。
今見直すと、当時の映画アートの色彩が濃厚に立ち込めている。でもそれほどしつこさは感じない。会話の台詞を文字のインターポーズで進める場面等、後の恋する女たちに見られるテクニックも登場する。ただ、現実の阪神間を舞台にしているわりには、この映画では「風の歌」があまり感じられない。時折挿入される風の音と荒廃したJay‘s Barの床のピーナッツの殻を風が巻き上げるシーン(監督が1番とりたかったシーンかもしれない)だけというのはちょっと寂しい。 しかし、兵庫県立神戸高校卒業生で、今も芦屋に縁がある者としては、西宮球場、南京町、元町商店街のヤマハ、芦屋のプールやテニス・クラブ等、今はないものも含めて思い出深い情景が多く映しだされるのが嬉しい。私の本作の評価はそういった個人的な感慨を加味したものである。 映像作家の個性が味わえます。
一言でいえば難しい映画、といえるでしょうか。フランス映画、ヌーベルバーグのように撮ってみようと考えたかどうかはわかりませんが、その雰囲気で、いかにもATG作品とも言える感じです。今の商業映画と比べると貧弱で雑な作り方に見えますが、仕掛けがない分、監督のアート志向と腕前が発揮されていると思います。大森一樹という映像作家を知るのに適した作品だと思います。カットのつなぎ方などに個性が出ていると思います。
春樹と一樹−阪神間の青春
大森一樹の作品と言えば、「ヒポクラテスたち」を大方の人は挙げると思うが、私はプロ以降
の作品ではこの「風の歌を聴け」を第一に挙げたい。プロ以降と書いたのは、アマチュア時代に 「暗くなるまで待てない」という、とてつもない快作を学生仲間と撮っているからである。 村上ファンには顰蹙を買うであろうことを十分承知で、大森一樹は映画化したに違いない。 また村上春樹が映画化を許諾したのは、阪神間であっという間に通り過ぎてしまう街「芦屋」 に若い日の二人だけに通じ合った思い出があったからである。(大森一樹談) 鼠が住むレストランは、夙川に実在したクリスボンというレストランである。ローバーミニが転倒する 場所は、今は無き西宮球場前である。海縁に建つ「移情閣」の脇には、今は明石大橋が存在する。 真行寺君枝と小林薫のベッドシーンは、フランス映画のワンカットのようで私は大好きだ。 昔からラブシーンの演出が苦手であろうと推察される大森一樹の「一発逆転芸」である。 そもそも村上春樹小説を映画で見るなどというのは、どだい無理なのだ。 今は大衆娯楽作に甘んじている大森一樹が、村上春樹の小説&ヒカシュー「巻上公一」の音楽 という難しい題材にチャレンジした若き精神と室井滋発掘という快挙に星4つを贈りたい。 村上春樹ファンならがっかりします。
村上春樹の風の歌を聴けだとおもうと、がっかりします。「風の歌を聴け」ってこんなにつまんない話だっけ?と思うことでしょう。
といって、大森一樹ファンの人が見ても、面白くないです。「オレンジロード急行」を見た方が何十倍も面白い。大森一樹が村上春樹に遠慮している感じで、どう見ても成功作とは言えません。 当時の風俗を振り返る歴史的価値はあると思います(ただし、それなら「俺たちは天使だ」とか、「探偵物語」を見た方がよいと思われますが)。 なんかいい雰囲気
そう、学生時代、テレビをふと観ていると、この映画がはじまった。
はじめは何となく観ていたが、だんだんにその独特な雰囲気にはまって行く自分を感じた。もう20年近く前のことだろうか。 そして、ある日原宿ラフォーレの本屋で、やけに気になる表紙の本を手にとった。1973年のビンボール。。。。村上春樹と僕の出会いはこうしてはじまることになる。そして、羊をめぐる冒険へと。 メジャーになった村上春樹。でもこの頃の彼の作品が一番気に入っている。そしてこの映画、大森監督にもはじめて出会ったわけだけど、一気に二人のファンになってしまった。
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クリエーターは「大森一樹」「小林薫」「真行寺君枝」「巻上公一」「坂田明」「古尾谷雅人」「村上春樹」です。 この商品を買った人は他にも「100%の女の子 / パン屋襲撃 [DVD]」、「トニー滝谷 プレミアム・エディション [DVD]」、「ヒポクラテスたち [DVD]」、「トニー滝谷」、「アキレスと亀 [DVD]」、などにも興味を持っています。 風の歌を聴け (講談社文庫)
レビュー ![]() 1Q7Q年リリースのデビュー作ということで
同じ作者による話題の最新作が2009年の5月にリリースされていることと、この同じ作者のデビュー作がちょうど30年前の1979年の同じ5月に発表されていることとの間には何か偶然以外の何かがあるのかとの軽い気分の勘違いに似た思い入れにとらわれて、この処女作を再読してみる。二度読む価値のない本は一度たりとも読む値打ちがないとは誰が言ったのだろうか(今、私も言ったが・・・・・)マックス・ヴェーバーが言ったのだ。でもこの本を読むのは二度目である。
「1Q84」ではヤナーチェックの"シンフォニエッタ"とソニー&シェールの"The Beat Goes On"が刺身のつまのように現れてくるが、本書ではThe Beach Boys(海岸少年)の"California Giels"が爽やかに軽やかに、はたまた面白おかしくビールのおつまみのように聞こえてくる。またこのデビュー作に既に村上お得意のパラレル・ワールドの片鱗が見え隠れしないでもないといったら言い過ぎだらうか。 そうそう、この本ではあの鼠先輩がカウンターデビューしている。歌ってないけど、ポテトの皮を剥くってスタイルで・・・・・。 若者像を変えた作品。
印象的なフレーズと小道具(レコードやミュージシャン)、映画のカットのような挿入で読み手の想像力を刺激してくる作品です。この小説が、20代の若者の姿を変えたと思っています。それまで、青春小説というのは、若者の間で起きる事件、恋愛、大人になる前の青臭さ、若者の無軌道ぶりといった若さ、甘酸っぱさ、瑞々しさ、残酷さなどに起因する姿を描いたと思うのですが、多くの人にとって、青春時代というのは漠然とした時間の中に埋もれています。モンモンとしている時間といえるかもしれません。村上春樹さんは、それをこの作品で表現したと思います。サリンジャーのようなアメリカの作家がこういう世界を描いていましたが、日本では村上春樹さんが20代の若者を包んでいる空気を描くことに成功したと思います。この作品の生まれた頃が、日本がアメリカ並みの豊かさを備え、生きるために行動するよりも、若者は自分の世界を作り出すために時間を費やすというような、歴史が残さない時代の境目であったのだと思います。村上作品を支持したのは、そういう新しい時代に踏み込んだ若者達であったのではないでしょうか。翻訳本のような文体、何も起こらない世界を読ませるための、レトリックと文章作りの技巧が図抜けていると感じています。文章の巧みさがあるゆえに出来上がった小説だと思っています。
やれやれな雰囲気
どんな小説にも印象的なフレーズは登場するが、それらは大体、主人公の考えや行動によって重みと真実味を持つ。この小説では印象的なフレーズが数多く散りばめられているが、ただ「散りばめられている」だけであって残念ながら何の説得力も持たない。例えば「天才とは1%のひらめきと、99%の努力である」というのはエジソンの名言であるが、これはエジソンの業績を知り、初めてその意味を考えられる訳である。もしどこの誰とも知らない人間がこんなフレーズを口走っても誰も気にも止めないだろうし、その意図する意味さえも考えることができない。そういう意味で、「最初のページだけでこの小説は終わる」とまで言っている人たちのことが僕には理解できない。
結局のところ、この小説を気に入るかどうかは、「やれやれ」という雰囲気(村上春樹が21歳だった時代の、つまり「誰もがクールに生きたかった時代の雰囲気)に共感できるかどうかだと思う。 と、批判的なレビューになってしまいましたが、僕としてはこの小説は非常に気に入っています。星5つ。 何度でも僕を救う。
第一章は7ページから始まり、13ページで終わる。たった7ページ。仮にこの小説が、このたった7ページしかなかっとしたら?
僕はそれでもこの小説を買う。7ページしかなくても、値段がいくらであっても、この小説を買う。それほどこの第一章の文章は美しい。初めて読んだのは恐らく、23歳くらいだったと思う。年齢がはっきりと思い出せないということは、それほど感動しなかった証拠なんだと思う。けれど今は違う。この小説を読むたびに救われる。そんな気持ちになる。 冒頭の有名な書き出しはもちろん好きだけど、今の自分にとって好きな文章はふたつある。 「もちろん、あらゆるものから何かを学び取ろうとする姿勢を持ち続ける限り、年老いることはそれほどの苦痛ではない」 著者がデビューした1978年、僕は生まれた。そして僕の年齢は、村上春樹がデビューした年齢と同じ30歳。10代や20代には感じることが全くなかった、年齢を重ねることに対する漠然とした不安が襲ってくる。それが30歳という年齢なんだなと実感する。けれどこの文章を読むことで僕は救われた。うつむかず前を見据えて生きていけば、年齢を重ねることは怖くないんだと。もしかしたら、村上春樹が30歳だったとき、やはり同じような不安があったのだろうか、その不安があったからこそ、この文章が生まれたのかと考えてしまう。考え過ぎだろうか。 もうひとつの僕の好きな文章。 「夜中の3時に寝静まった台所の冷蔵庫を漁るような人間には、それだけの文章しか書くことはできない。そして、それが僕だ」 この文章の意味とか、そういったものではなく、ただ単純にカッコいい。この文章から醸し出される空気がとてつもなくカッコ良くて、本当に好きだ。 この小説を読むことで、僕は何度でも救われる。だから本棚の、一番に手が伸ばしやすいところに置いている。 青春小説・・・いや。ちょっと待てよ。どうもおかしい。
「ジェイズ・バー」を根城に回想される、「僕」と「鼠」と
女の子たちの青春のノスタルジー。といいたいところですが、 コトはそんなに簡単じゃあない。 村上春樹作品を読む順番を間違えた「僕」(読者)としては、 この異様な作品には、なにか怖いものを感じました。 たとえていえば、「クビから上の登場人物がモソモソ 会話し、動き回る姿は、そこにあるんだけれども」どうも、肉体が存在 しない、架空の青春回想録。 存在感、現実感、肉体感のない生活の中を、目の前をさまざまな人物 が、のっぺりとした紙でできた人間たちが、来ては去っていく、そんな 仮想な現実を、愛、恋、生、死と繰り広げていく、乾いた空間と時間。 シンプルな会話と簡素な言葉がストリーミングとして流れていく。 後の作品の、疎外感を彷彿とさせる、村上春樹のデビュー作は、すでに ここからして、「死」をいつも感じさせる文体となっています。
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クリエーターは「村上 春樹」です。 この商品を買った人は他にも「1973年のピンボール (講談社文庫)」、「羊をめぐる冒険〈上〉 (講談社文庫)」、「羊をめぐる冒険〈下〉 (講談社文庫)」、「ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫)」、「ダンス・ダンス・ダンス〈下〉 (講談社文庫)」、などにも興味を持っています。 風の歌を聴け
レビュー ![]() 半分しか語れない本音で語った物語
言わずと知れた村上春樹のデビュー作
「淡々と脱力感」 村上春樹が書く小説を読んで 一番最初に去来した 私の中のイメージで それは何十という作品を読んで来ても 変り続けることが無い。 さて 本作の主人公ももちろん 脱力感に満ちあふれている 彼は21歳の若さに関わらず 何かを悟っているかのような 人を馬鹿にしたような そんな空気をまとっている。 友人鼠も それに負けない淡白な人間像で そんな二人が会話すると とたんに 粋なアメリカ映画のワンシーンになってしまう。 稚拙な表現をすればクール。 時代が40年過ぎようと いや 逆に過ぎれば過ぎるほど この作品の世界観は 美しさを増していくのかもしれない。 村上春樹の技術についてデビュー作ということもあり、文章はまだまだ下手っぴな部分も多いが、この直後にやってくる80年代 的Coolness&Popnessの先駆的意匠というアプローチから読めば、実はかなり前衛的な純文学だったと言え るかもしれない。内容自体はどうでも言いっちゃどうでも良く、読んでいて小っ恥かしくなる──二十歳そ こらでそんなこと言う奴いるかよ的な──場面も多く、個人的には好きな作品とは言えないまでも、結局、 村上春樹の村上春樹たる最も偉大で稀有な資質とは、テキストを上滑りながら読んでも読者を作品の本質と いうか内奥にまで接近させる技術にあるのだと思った。 他の純文学作家の場合、大前提として読者は、そのテキストと極めて近い距離から半ば文学的格闘を通じ てその作品を読む必然に駆られる。つまり、適当に上滑りつつ読みなぞっていても作品世界の内奥に没頭す ることができないのが他の純文学ほとんど全てに通じる最低条件だったりするのだが、村上春樹には、特に 深い入りすることもなく表面を適当になぞっているだけでも作品の深い部分にまで読者を引きずり込む魔力 がある。その魔力自体は必ずしも芸術的価値のある構造的特質というわけではないものの、それでも、興味 のない読者までをも作品のボトムスに引きずり込む作力だけは評価していい。(アンチにまで何かを奮い立 たせる作家はそう多くないだろう。) とはいえ、作品の内容をあれこれ議論する程度の世界観でもないだろうというのが率直な感想。つうか、 ほとんど内容とか細部を、もうほとんど忘れてる。謎めいた女の登場人物がややショッキングな打ち明け話 をするという必殺技はカポーティーの『草の竪琴』からの飛び切りのインスパイアだったのか、その後の彼 の作品でも必ず登場するお決まりのプロット(筋運び)である。そう考えると、登場人物にほとんど真相を 語らせることなく作品に衝撃の結末を用意してしまうレイモンド・カーヴァーに、彼が自分とは正反対の ハードボイルド観を見出して大きな衝撃を受けたであろうことも素直に納得できる。 ちなみに、「完璧な文章」は必ず存在します。ただ、我々がそれを遂に見る事がないというだけのことで す。完璧を目指して絶望するのと、完璧の不在を拠り所に最初からに絶望を回避するのとは、全く意味が違 うばかりでなく、いちいちそんな言葉を有り難がっていること自体が一つの大いなる絶望を招くということ に早く気づいた方が、方向感覚を剥奪された真っ暗闇の海上から微かな岸辺の灯を見つける日もそう遠くは ないってもんだろう。 巧みに作り込まれた作品
私は本を読む時、どうしても、はっとするような思想に出会いたい、
と思ってしまう。 そういうスタンスの読者にとっては、気分の良くない作品だ。 結局、主人公の僕、の物憂さの原因の一つは、きっと、 恋人が自殺したこととか、なのだろうとわかる。 その事を書く時、読者を引き込もうとする為に、ぽそっ、と書き、また、さっ、と 場面転換し、忘れた頃に、また、ぱっ、と出す。 自殺とか、そういう重い話を、そうやって、物語を引っ張るための、 小道具にしている感じがして、嫌なのだ。 ああ、そうか、「僕」はその事件がネックになっているのだな、 という共感は持てるかもしれない。 しかし、人間関係そのもの、とか、死、そのものについて、 何かを語っている小説を読みたい、と願うものにとっては、 本当に、空疎な作品に思えてしまう。 もっとも、作者は、青春期の、そういう死とか人生に対して、 受け身にならざるを得ない若者の姿を書きたかったのかもしれない。 そういう点が、若い読者をひきつけるだろう。 「嘘」ということも、この作品の重要なモチーフである。 何だか、この作品自体が、巧妙な嘘に満ちているような気もする。 ハートフィールドのこともそうだし、ラジオ投稿の難病少女の手紙も、 作者は、読者を騙して笑っていたりして・・・。 トリッキーな作品ではある。 重くも軽くも
登場人物たちは重いものを感じさせるが、文章は軽いものを感じさせるものだった。きっとそのギャップが、この作品から漂う曖昧な空気に満ちた空間をつくっているのだろうと思った。湿っているような、でも乾燥した流れに乗っているような。友達に一読すべきと言われて読んで良かったと思う。その雰囲気にふっと引き込まれてしまった。捉えどころがないけれど、著者はしっかりと物事の本質を見極めていると感じた作品だった。
ただの青春小説じゃなくて
わざわざ僕が言うまでもなくこの小説が「ただの青春小説」
じゃないことくらい分かりきったことですが、あえて言います。 この村上春樹さんの群像新人文学賞を受賞したデビュー作『風 の歌を聴け』は、ただの青春小説じゃないんです。 メタフィクショナルな構造で書かれたこの小説に登場する作家 デレク・ハートフィールドは架空の作家ですが、復刊ドットコム にリクエストを出してしまうほどリアルに描かれています。僕も 初めて読んだときはそう思いましたが、少しして、「村上さんの 創作なんだろうな」と理解しました。 この、デレク・ハートフィールドが素晴らしい。 僕の村上春樹のベストは後にも先にもこれです。この作品を一生 読んでいくと思います。ふとした一瞬に「あ、読みたい」と思わせる 力がこの本にはあるから。
風の歌を聴けを見てみる
クリエーターは「村上 春樹」です。 この商品を買った人は他にも「1973年のピンボール」、「羊をめぐる冒険」、「ダンス・ダンス・ダンス〈上〉」、「ダンス・ダンス・ダンス〈下〉」、「海辺のカフカ〈上〉」、などにも興味を持っています。 風の歌を聴け―Hear the wind sing 【講談社英語文庫】
レビュー ![]() *日本語と英語を交互に読んでみました!
ご存知、村上春樹さんのデビュー作です!
まずはクオリティーの高さにビックリ! 最初からこんなに書けたんだ〜、すごい!と感じました! これを読んだら作家をめざす人のほとんどが尻込みしてしまいそう! 英語のほうですが、村上作品のメジャーなものは英訳されているのですが、、 いつも思うのは翻訳者の質の高さです! 他の作家だと、原作と翻訳が「別の本」のようなものが多い中で、 村上さんの翻訳者はレベルが高いのか原作世界とのずれが少ないのです! むしろ翻訳のほうが村上さんの世界が、わかりやすいかも?と思う時さえあるのですから、、、 位相差
どこか人をくったような、微妙な間。
村上春樹の文章を“わたし”が評するなら、そんな感じ。 日本語で初めて読んだのは、もう春樹がビッグネームになってからでしたね。 のちのちの作品のエッセンスが凝縮された良作です。もちろん。 じつは日本語で読んだときには、むしろその凝縮感が、重かったかも知れません。 今回、英語で読むと、もっとあの間を感じることができました。 軽く海を泳ぐような、春の蝶のような、五月の風。 英語力がないせいでしょう、イマジネーションを働かせなければならない分、 くっきりと春樹ワールドを嗅ぎ取ることができたような、変な体験でした。 お勧めします、巻末の注釈を見なくても、高卒レベルの英語でいけます。 そもそものはじまり
村上氏の著作の英訳のはじまりがこの中高生向け文庫だったように思う。
バーンバウムのいきのいい翻訳に出会えて、目的のはっきりしない英語の勉強から、 読みたい本をよむ行為へ格上げだ。 Hear the wind sing
"Hear the wind sing" is the English version of 「風の歌を聴け」, originally written by Murakami
Haruki. I like this line: "There's no such thing as a perfect writing just like there's no such thing as a perfect despair." I don't know whether there exists a perfect despair or not; however, suppose there existed "a perfect despair" , in what way could such a thing as " a perfect despair" exist. It is well translated into flowing colloquial English, but still keeps the atmosphere of the original book. さらっと読めます。
さらっと読めますが、決して内容が薄いということではありません。
全体的に不思議な雰囲気が漂いつつも、現実的な作品と言えます。村上春樹さん以外の人ではこの雰囲気は出しえないでしょう。 文章よりも内容、最近では特に波乱万丈なストーリー展開の作品が人気を博している中で、村上さんの作品は日常を語ったものでありながら、その表現に何か惹きつけられるものを感じます。文学というのはこういうものだ、と思える作品です。
風の歌を聴け―Hear the wind sing 【講談社英語文庫】を見てみる
クリエーターは「村上 春樹」「アルフレッド・バーンバウム」「Alfred Birnbaum」です。 この商品を買った人は他にも「Norwegian Wood」、「A Wild Sheep Chase: A Novel (Vintage International)」、「Hard-boiled Wonderland and the End of the World」、「Dance, Dance, Dance」、「The Elephant Vanishes: Stories (Vintage International)」、などにも興味を持っています。 |