三匹の蟹 (講談社文芸文庫)
レビュー ![]() 最近書かれた作品を言われても違和感がないくらい現代的
表題作「三匹の蟹」は、アメリカ(多分)で生活する日本人の家族。主人公は、主婦の由梨。閉塞感というよりは、だらしなさが濃くて、気持ち悪くなるくらい。特に夫婦のやりとりが。 最近書かれた作品を言われても違和感がないくらい現代的で、昭和40年代前半に書かれたと思えないくらいです。
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クリエーターは「大庭 みな子」です。 この商品を買った人は他にも「寂兮寥兮(かたちもなく) (講談社文芸文庫)」、「むかし女がいた (新潮文庫)」、「浦島草 (講談社文芸文庫)」、「杳子・妻隠(つまごみ) (新潮文庫)」、「死者の奢り・飼育 (新潮文庫)」、などにも興味を持っています。 妊娠カレンダー (文春文庫)
レビュー ![]() くつくつ、とジャムを煮込むさるきちも。
妊娠した姉のために
くつくつ とグレープフルーツを煮込み ジャムを作っている、わたし。 姉はその鍋を抱えるようにして スプーンですくって食べ尽くす。 「アメリカ酸のグレープフルーツには 強力な毒薬が使われており 染色体をも破壊する」 ふと目にした広告。 その毒は胎児の染色体も破壊するのかしら だからわたしはせっせと 姉にグレープフルーツを食べさせる。 精神のバランスを欠いている姉と フツーであるようで やはり何かが損なわれている、わたし。 その二人を結びつけているのが 食べモノだ。 小川洋子氏の食べモノの表現は とてもグロテスクで 身体の内部を彷彿させる。 さるきちが口にしたものもね、 ぬめっとした腸や、 柔らかい皮が張った胃や、 きゅっと締まった卵巣といった、 臓器へと変容するのだなあ と、想像することができる。 さらに、 食べ物は 単に身体を形成するだけでなく、 精神にも深く寄与しているのだと、 考えさせられる。 摂食障害で 時に食べモノが敵となり、 食事が苦痛となっている さるきちにとっては、 彼女の作品て、 何かココロにひっかかるモノがあるのよね。 どうして破綻を期したのが 「食」なんだろう… ちょっぴりミステリアスな短編です。 本書には、他にも 「ドミトリイ」「給食室と雨のプール」が おさめられています。 すでに独自の作風を確立している
芥川賞受賞作となった「妊娠カレンダー」。
妊娠をきっかけに、刻一刻と変貌を遂げ、どんどん知らない人になっていく姉に戸惑う妹。 やがてアメリカ産グレープフルーツジャムを作り続けることにより、周囲を振り回し続ける姉に密かな抵抗の手段を見い出す。 「悪意」と言うよりは、ふとしたきっかけで、暗い考えにとらわれる、そのハードルのあっけなさみたいなものを書こうとしたのだろうか? 「夕暮れの給食室と雨のプール」。 婚約者との同居生活が始まる前の、細々した生活の準備の様子を書いても書いても、見事に生活臭がしないところがさすが、小川洋子(笑)。 こういうノスタルジックな日常からファンタジーに迷いこんでしまう…というのも彼女の基軸の一つ。 「博士の〜」や「ミーナ〜」もこの路線かな? しかし、私は作者の真骨頂は「ドミトリイ」だと思う。 この頃すでに、短編集「海」の「バタフライ和文タイプ事務所」に匹敵する完成度のものを書いていることに驚かされた。 読んでほんわかしたいい気持ちになるのは、「博士〜」や「ミーナ〜」だろうけれど、ザ・小川洋子なのは「バタフライ和文タイプ事務所」や「ドミトリイ」のような作品だと思う。 食の安全はどこにあるのでしょうか
『妊娠カレンダー』です。表題作の他に、『ドミトリイ』『夕暮れの給食室と雨のプール』を収録した短編集です。
表題作は芥川賞を受賞していますが……作者の小川洋子といえば代表作は『博士の愛した数式』でしょう。『ドミトリイ』の中には数式を駆使する数学科の大学生がいたりして、ちょっと興味深いです。 三作に共通しているのは、けっこうダークな作風であることと、食べ物が作品の中心に描かれていることです。 偽装とか薬物混入とか、食の安全がわからない昨今の中で読むと、更に面白さが増しそうです。 どの作品も純粋に面白いです。文章は読みやすいし、純文学なんだけど、どの方向性に向かっているのか分かりやすいし、主人公の心理も分かりやすいです。ちょっとホラーっぽくもあり、謎解きっぽい要素もあったり、面白いです。 日常にありふれている負の感情を描いた作品
いかにも芥川賞受賞作といった類の純文学作品。同居生活を送っている「私」と姉、
姉の夫という三人の生活がこの作品の主な舞台となっている。 妊娠してからというもの、「私」の姉はどんどんヒステリックになり、美しかった肢体 には肉がつき、二重顎にたるみ始めた・・・「私」から見た「私」の姉や姉の夫の言動をひた すらに描写し続け、「私」の些細な感情の揺れはいちいち描かれないまま、しばらく物語は 進行していく。一人称で描かれているが、中心に据えられているのは姉だ。 しかし、「私」がアルバイト先のスーパーでグレープフルーツを貰ってきたあたりから、 「私」の意図が見え隠れし始める。それはグレープフルーツでジャムを作り、姉に食べさ せ続けること。昔、米国産のそれについて叩き込まれたある記憶が「私」にそうさせた。 なぜそのような行動に出るのか? 人間が隠そうとする、あるいは気づきたくない負の 感情のうちの一つがそうさせているのだろうと予想はつくが、何とも言えず不気味な妹 なのだ。姉が産んだ赤ん坊を見に行く「私」は、いったい何を見ることを期待しているの だろう? 小川さん独特の手法にかかれば、ありふれた日常もホラー的な要素満載である。 現実世界の「ねじれ」から見える風景
本作に納められている短編3篇とも、現実世界の「ねじれ」から見える風景を表現している。物語の設定はすべてどこにもありそうな話しである。それこそ僕達の住んでいる地方にもありそうな話である。でもその何処にでも「ありそうな話」が何処にもない不思議な話なのである。それは作者の目線がちょっとズレたところにあるからかも知れない。古い産婦人科、学生寮、給食室。何処にでもあるが、ちゃんと見ていないと見逃してしまう、その独特の場所から現実世界では感じられない「ねじれ」を作者は我々に見せてくれるのである。
ところどころに、作者の後から発表された作品の萌芽を感じることが出来るのも読書の楽しみを増やしてくれる。
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クリエーターは「小川 洋子」です。 この商品を買った人は他にも「完璧な病室 (中公文庫)」、「ホテル・アイリス (幻冬舎文庫)」、「凍りついた香り (幻冬舎文庫)」、「余白の愛 (中公文庫)」、「寡黙な死骸 みだらな弔い (中公文庫)」、などにも興味を持っています。 小説家になる!―芥川賞・直木賞だって狙える12講 (ちくま文庫)
レビュー ![]() ある小説の酷評
「悪い例」として、ある小説を酷評するのですが、それが面白くて、何回も読んでしまいます。
本書は確かに専門用語が出てきますが、きちんとその説明もされており、「直喩」「隠喩」といった事まで教えてくれます。 少々、好きな小説をベタ誉めし過ぎな所が鼻につくのですが、なかなか楽しめる上に勉強になります。 買って損なしです。 基礎学力がないとダメ!
専門卒の私には、冒頭から蹴落とされた気分でした。ラングとパロール?なんのこと?読んでも全く理解できない。この本はある程度教養のある人(大卒文系)でないと読み進めるのは困難です。読むのはできても内容を把握できないのがオチ。著者はカリスマ教師らしいですが、残念ながら文章からそのカリスマ性を垣間見ることができませんでした。それも私の教養のなさ?文中に(笑)なんか使ってるし、好きなものはベタ褒めだし、突っ込みどころ満載でした。あ、でも小説を書くのは好きだけど読むのは嫌いという人には良書を勧めてくれるので勉強にはなります。
自信回復さえ可、な優れ本。
面白いの一言!
しかも、この手の本は、殆どが、実用性ゼロの単なる評論なんでしょうけど、この本は、プロ志望にも読む価値があると思います。 特に、第5講は、自信を失いかけている方、読むと自信回復出来ますよ。こんなに下手な奴でも、デビューして読者が付いてんだ〜、みたいな。 この講での教えを自らに向ける事で、恐らく自身のレベルアップも可能ですし。 私には、想像性に持続力が欠けているため、今は停滞していますが、いつか先、デビュー前には、最高の指南書とさせて頂きます。
小説家になる!―芥川賞・直木賞だって狙える12講 (ちくま文庫)を見てみる
クリエーターは「中条 省平」です。 この商品を買った人は他にも「小説の解剖学 (ちくま文庫)」、「2週間で小説を書く! (幻冬舎新書)」、「ライティングデスクの向こう側―文章から小説にいたる技術」、「作家になる技術 (扶桑社文庫)」、「短編小説のレシピ (集英社新書)」、などにも興味を持っています。 |