機動戦士ガンダムUC (7) 黒いユニコーン (角川コミックスエース)
レビュー ![]() 右肩上がりの展開!
宇宙で始まり、地球に降り、そしてまた宇宙へ。過去の作品にも多くあった流れを踏襲していますが、起承転結の「転」にあたる節目だったのでしょうか。今回のスピード感もよかった。ラストの数ページでは涙がでちゃいました。
ミステリーであれば「犯人を想像=展開の先読み」という読み方をする人も多いのでしょうが、本作品ではそれをする必要もなく、物語に安心して没入することができます。これまでの既刊?の流れ(情報量)が必然となり、主人公(ヒロインや他の主要キャラも)を成長させる糧となっていると感じさせてくれる展開になっています。 過去のガンダム作品からの台詞の引用などに過敏に反応する方もいるようですが、、他の福井さんの作品同様、圧倒的に引き込まれる(まだ途上の作品ではありますが、)完成度?表現力?のお陰で、私にはそういった細かな表現は気になりませんでした。その場面に相応しい台詞を、別の表現にすることもできたのでしょうが、敢えてしなかった作者の遊び心なのか、過去の作品へのリスペクトとして受け取れます。 主人公の立ち位置が連邦だろうがジオンだろうが、垣根を越えた視点としてこの作品を作っていきたいのだと思えば、それが作者がこめたメッセージとも感じ取れ、新たなガンダムの物語として十分受け入れ、楽しむことができます。 ・ラプラスの箱とは? (↑これについても、私はなるべく考えないようにしています。) ・フル・フロンタルの出自 ・リディの今後 と簡単に数え上げても、楽しみな展開がまだまだあるわけですし、この状況からどういったラストに収束されていくのか、楽しみでなりません。 ひとつ自分自身後悔しているのは、この作品を完結してから一気に読破したかったな。ということだけですね。(まぁ、既に読んでしまっているので、この後も発売と同時に購入していきますが) 残念ではありますが…
相変わらずの著者の描写力、ストーリーなど、全体的にとても楽しかったのですが、残念な部分もいくつかありました。
というのも、そもそも「黒いガンダム」というのが二番煎じという感がなくもありません。 ましてやそのパイロットは悲劇に満ちた強化人間であり、主人公と浅からぬつながりを持った女の子。またその2人が戦う最中に現れる虹色のオーラ(=サイコフレームの共振)などなど…こういったパターンは物語序盤でこそ、本作品がファーストの系譜である事を読者に意識させる意味もあったのでしょうが、既にUCが一つの作品として独り立ちしている現在では、「またか」と思う方が強かったです。 特に終盤、バナージが放つ「ユニコーンガンダムは伊達じゃない!」というセリフに至っては、それまでUCという物語にグッと引き込まれていた所で一気に熱が冷めてしまい、何とも複雑な思いになりました。 「ここでそんな遊び心はいらないのでは?」という感じでしたね。 とは言え、それでも読んでいてとても面白く、作品に引き込まれてしまったのは、著者の筆力の賜物でしょう。さすが福井氏です。 個人的に、はブライトが「箱」を巡る争奪戦に大きな役割を果たす事になったのが、とても嬉しかったです。 ビスト財団の当主代行も顔負けの交渉術を見せるなど、ブライトもすっかり大人です。 また、ベルトーチカがルオ商会のスタッフとして登場するシーンは、お待ちかねのファンも多いのでは。ブライトと共にアムロの思い出話をする所は、感慨深いものがありますね。 「箱」を巡る謎についても、リディの口を借りて徐々に語られ始め、明らかになる日が近い!という期待感がますます強くなります。 何より、ファースト以降に共通していた世界観がこの作品のバックボーンになっていて、それが脇役MSなど、物語の細部に至るまで徹底されているので、ファンとしては安心して読んでいられますよね。 今から次号発売が待ち遠しいです。 ニヒリズムの時代に
一気に読破した直後の熱を持ってこのレビューを書いている。
後半三分の一の迫力に度肝を抜かれた。《ユニコーン》と《バンシィ》の応酬の間隙に登場人物がほとばしらせる感情が織り込まれ、それが一文一文がドクンドクン脈打つ文章で活写されて幾重にも重なって激流のようにラストに流れ込んでゆく。ただただ圧巻だった。 世界の理不尽に「それでも」と言って“内なる可能性”をもって対峙してゆくバナージの姿には問答無用に魂を揺さ振られてしまう。「世の中なんてどうにもならないさ」と我々を押し潰すニヒリズムの重圧から世界を救うのは福井氏の小説かもしれない(いや、マジで)。 ただ、他のレビューでも書かれているように過去のシリーズからの引用があまりに多くて正直興ざめすることもある。最終回、腕と首のもげた《ユニコーン》が首だけの《シナンジュ》と戦ったらやだなぁ。 いくらなんでも
ガルスJの派生機や、連邦のアッシマーの後継機アンクシャ等、MSファンには嬉しい巻。地球から宇宙へと戻る過程に、旧ジオンの残党が襲い掛かる。戦闘シーンも多く面白かったが、やはり大きな疑問が。4巻でもあったが、身内を殺したバナージを迎え入れるガランシェールのメンバー、今回は身内(アンクシャ)を落としたバナージを保護せんとするブライトやミタス艦長。はっきり言って意味がわからない。どんな軍隊に身内殺しを庇護する奴がいるのか。もちろん、MS自体があり得ないことではあるが、ドラマ自体の信憑性の点で、どうにもすっきりしない。しょっちゅう居場所を変えるパイロット(主人公)なんて、誰も信頼しないはずなのに、どっちもそれを甘受している。やはり、この小説の限界を感じる。福井氏の作品もガンダムも好きだが、やっぱり釈然としない点は、はっきりと言っておきたい。
胸が躍らない読者は少ないだろう
著者と同い年、所謂ガンダム世代の私にとって
トミノ監督の手によらないにもかかわらず ひさびさに「正統な」作品を読んでいる気がしている。 (挿絵の効果も大きいとは思われるが、 その点からすると四巻から部数が伸びないような気も・・・) ファーストから30年近い年月が経過し 直木賞候補作家が作品を手掛けるまでの成長を 当初、誰が予想し得ただろうか? 本巻は第七巻。様々な伏線と、あらゆる勢力と、 メインキャラクターがオーストラリアの地に収束する巻である。 前巻に見られたようなスローペースかつ ファーストへのノスタルジアに固まった展開から スピーディーに、物語が収斂していく感覚が非常に心地良い。 物語のもう一人の主役として開眼するオードリー。 トミノ監督であればもう少し悲劇的に描かれるであろう 強化人間の前向きな、希望に満ちた描かれ方。 そして重力の井戸の底から、人々の想いとそれを繋ぐ ケーブルに引かれ、宇宙〈そら〉に浮かび上がるガランシェール。 〈浮かび上がる〉カタルシスに満ち満ちたラストが 深い深い余韻を残す。最高傑作の巻である。
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クリエーターは「福井 晴敏」です。 この商品を買った人は他にも「機動戦士ガンダムUC (6) 重力の井戸の底で (角川コミックス・エース)」、「機動戦士ガンダムUC (5) ラプラスの亡霊 (角川コミックス・エース (KCA189-6))」、「機動戦士ガンダム THE ORIGIN (18) ララァ編・後 (角川コミックス・エース 80-21)」、「機動戦士ガンダムUC (4) パラオ攻略戦 (角川コミックス・エース 189-5)」、「GUNDAM LEGACY (1) (角川コミックス・エース 26-17)」、などにも興味を持っています。 |