日本合唱曲全集「海鳥の詩」広瀬量平作品集
レビュー ![]() 関屋晋指揮、松原混声合唱団、紅林こずえのピアノ伴奏による名演奏
ながらく京都市立芸術大学教授を務めていた広瀬量平の代表的な混声合唱組曲です。
『海鳥の詩』の方は、NHKの委嘱を受けて、1977年の芸術祭に参加し、同年の芸術祭優秀賞を受賞した作品です。「オロロン鳥」「エトピリカ」「海鵜」「北の海鳥」の4曲からなります。作詩をした更科源蔵は北海道在住の詩人ですし、広瀬量平も北海道出身ですから、厳しい北海道の海に生息し、逞しい海鳥の生き方を通して、同じ過酷な風土に立ち向かっている人々への温かい思いが詩に込められているのがよく分かります。 混声合唱組曲『海の詩』は、「海はなかった」「内なる怪魚(シーラカンス)」「海の子守歌」「海の匂い」「航海」の5曲で構成されていますが、組曲で歌われることはめったにありません。2曲目の「内なる怪魚(シーラカンス)」で使用されるトーン・クラスターの書法がアマチュア合唱団には荷が重いですし、3曲目と5曲目にソロがあるのも難点です。ただ4曲目の「海の匂い」はメロディ、和音とも、『海鳥の詩』の先駆となる要素を多分に含んでいますので、愛唱して欲しい合唱曲だと思っています。 1曲目の「海はなかった」は、1975年のNHK学校音楽コンクールにおいて高校の部の課題曲でした。広瀬量平の親しみやすいメロディはコンクールの課題曲らしくなく、岩間芳樹が書いたステキな歌詞がとても印象に残る曲で、高校生の感性に合うものでした。寂寥感がなんともいえない魅力的な作品で、全般に調性がマイナーなのも淋しさを募らせます。この曲だけ単独で、後に多くの合唱団で歌われたのも理解できるほど魅力的です。 先年鬼籍に入られた関屋晋先生の王道とも言える合唱表現が伝わってきます。実力のある松原混声合唱団の歌唱も立派です。1981年に収録されたものです。
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