麦秋 [DVD] COS-022
レビュー ![]() 淡々としたホームドラマ
小津の映画の中で 個人的に一番好きなのが本作だ。
婚期を逃しかけていた娘(原節子)が結婚し、秋田に引っ越すことを機に 大家族が離散し核家族に分かれていく様を いつもの通り 淡々と描いている。原節子の結婚相手は 子連れの男やもめであるというような 若干の「事件性」は有るものの 基本的には ごくありふれた家族ドラマだ。 そんなドラマなのだが 何べん見ても飽きない。 原節子が結婚を決意した際に 姑になる 杉村春子が「あんぱん食べる?」という名高いシーン、 一家離散が決まった後に行う家族の集合写真撮影の場面、 原節子が友人の淡島千景と結婚を決意した気持ちを伝える場面、 ありふれていながら妙に心に残る場面が忘れがたい。中でも 僕は最後に 麦畑の中を歩いていく婚礼の行列の美しさには 毎回惚れ惚れとしてしまう。 こういうホームドラマを 果たして今の僕らは作ることが出来るのだろうかと思ってしまう。そう おそらくとても難しいのだ。 隠れたムフフ映画…
セーター姿の原節子の乳首のポチポチが妙に気になります。隠れたムフフ映画ですね。別の意味で男性ファンを引きつける小津作品です。
極め付きの叙情!!
「晩春」、「東京物語」と並び称せられる小津の代表作。「晩春」の続編のようでいて、味わいは大いに異なる。すなわち原節子が嫁に行くことにより、一家が期せずして崩壊してゆくことを、ある種の諦念というより無常観をもってきわめて叙情的に描いている。そして小津作品における原節子の「嫁に行きそびれている」娘役はこれで終わり。
配役もひねりあり。笠智衆は原節子の兄の役で、その嫁に三宅邦子、父親役はなんと溝口組の常連の菅井一郎、母親に東山千栄子、原節子と最後に結婚するバツイチの医者に二本柳寛、その母に杉村春子、奈良から来る原のおじいさんに「七人の侍」の村長の高堂国典(好演です)。 心に残る名場面は、原がとなりの杉村を訪ねたときに、息子の二本柳が留守でいないのに、彼と結婚すると突然決意表明するところか。そのときの杉村の喜びをあらわす演技は素晴らしいし、最後に原に 「ねえ、あなたあんパン食べる?」 と尋ねるのがおかしくて絶妙です。これも今では絶対に作れない映画。必見。
麦秋 [DVD] COS-022を見てみる
クリエーターは「小津安二郎」「原節子」「笠智衆」「淡島千景」「三宅邦子」「菅井一郎」「東山千栄子」「杉村春子」「二本柳寛」「井川邦子」「高橋豊子」です。 この商品を買った人は他にも「晩春 [DVD] COS-021」、「お茶漬の味 [DVD] COS-023」、「東京物語 [DVD]」、「戸田家の兄妹 [DVD] COS-017」、「父ありき [DVD]」、などにも興味を持っています。 太陽のない街 [DVD]
レビュー ![]() 1920年代半ばの世相
原作も映画も暗くシリアスです。初めてフィルムセンターで観た時はよくわかりませんでした。次に観たのは山本監督追悼の連続上映興行の時です。やや生硬な感じはありますが、大正から昭和に移ろうとする日本の都市の一断面の描写は流石ですし、興味を覚えました。これが後年「戦争と人間」などにも生かされるのだなと思いました。
なお、資料に大川社長役として滝沢修の名前が記載されていますが、出演しておらず実際には清水将夫が演じております。何かの都合で変わったのでしょう。同じ劇団民藝の幹部ですから。
高原児 [DVD]
レビュー ![]() 無国籍アクションに宿る旅情
虚構性こそがその持ち味でありつつ、一方ではその果てしなく繰り返される定形性があってこそ、見るものをそこに引きつけるのが当時の日活アクション・ドラマの特徴であるとすれば、この「高原児」にもまたそのプログラム・ピクチャーの典型を見ることが出来る。
主人公小林旭は派手なダイナマイトによる炸裂とともに登場し、すぐにヒロイン浅丘ルリ子との関係が語られる一方、男同士のクールなライバル心と友情が、この場合宍戸錠の弟郷鍈治の登場とともに始まる。やがて金子信雄や二本柳寛といったいかにもの風情の暗黒街の悪者の謀計とその手下の暴力がすべて全く現実感を無視して描かれる中、アキラは助けようとする一族から冷たい視線を浴びて孤立する。 この定形のプロットを、齋藤武市は、いわゆる和製西部劇スタイルと、民謡ミュージカルとでもいうべきシーンを織り込みつつ、一方で物語にバラエティーをもたすべく、ロケ地の風光や風物をもスクリーンに刻み込む。この「高原児」の場合には阿蘇九重高原の雄大な景色や別府温泉といった観光名所を紹介するのだが、これも必ずといっていいお約束の、愛する女を振り切って孤独に戻るラストの見るものに与えるカタルシスは、その観光名所へと旅情を誘う役割をも担う。 こうして一本見終えて、当時の映画が受けていた大きな期待と役割に、現在の我々は、再び遠い思いを馳せるのだ。いま1961年の九州へとひとり旅立ちたいという不可能な衝動に駆られるのは決して一人だけではあるまい。
高原児 [DVD]を見てみる
クリエーターは「斎藤武市」「小林旭」「浅丘ルリ子」「二本柳寛」「金子信雄」「白木マリ」「松浦健郎」「中西隆三」です。 この商品を買った人は他にも「海から来た流れ者 [DVD]」、「口笛が流れる港町 [DVD]」、「女を忘れろ [DVD]」、「赤い夕陽の渡り鳥 [DVD]」、「波涛を越える渡り鳥 [DVD]」、などにも興味を持っています。 |