偽文書学入門 (KASHIWA学術ライブラリー)
レビュー ![]() 「偽文書」から歴史研究のありかたを問い直す
柳田国男や網野義彦らの民俗学研究にって、必ずしも「公的」「正式」な文書に取り上げられない人々や文化へも光が投げかけられるようになってきた。その文脈中で「偽文書」というものがにわかに注目されている。
「偽装されたものだから」と切り捨て、顧みない傾向がつよく、そりも簡単なことではあったが、なぜそのようなものが書かれ、伝えられてきたのか。そこにはその時代の民衆の願いや欲望、利益が見え隠れする。そういった「もやもや、どろどろとした」ものに切り込み、明らかにしようとした野心的な論考集が本書である。 考えてみれば「古事記」「日本書紀」とて100パーセントまったく事実が書かれているというわけではない。どんな文書であれ著者の主観や意図が紛れ込んでいるのであり、その意味では「正史」「偽文書」の区別も相対的なものだ。ただ単に歴史の勝者や権力者によるものかどうかという違いだけである。伝統的な文献記録にもとづいた文献史学に対しても新たな視点や深みをもたらすものといえる。
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