アート・オブ・ヴァイオリン [DVD]
20世紀の偉大なヴァイオリニストたちを集めたブリュノ・モンサンジョンによる『アート・オブ・ヴァイオリン』は完全無欠のドキュメンタリーだ。蛇足ながら同じシリーズの『アート・オブ・ピアノ』、『アート・オブ・シンギング』にも同じことが言えるため、歴史に残る名演奏家たちのオーディオ・ビジュアルの記録を個人で揃えるなら今しかない。丹念に収集した(20名以上もの傑出したソリストたちを取りあげている)映像素材には、かけがえのない価値がある。妥協を許さずに追求したヴァイオリンの技術とアプローチの多様性を観察すること自体が、終わりのない比較のテーマとなる。素材はその大半がまさか存在するとは誰も夢にも思わなかった演奏の記録と、インタビューやコメンタリーを交えたものだ。しかし、モンサンジョンはこのプロジェクトを過去の遺物の記録に終わらせず、イツァーク・パールマン、ヒラリー・ハーンといった現代のヴァイオリニストの演奏も収録している。絶対に買いだ。(Roger Thomas, Amazon.co.uk) レビュー ![]() 個性的な名ヴァイオリニストたちの貴重な映像がいっぱい。夢のような2時間を堪能しました
私の大好きなヴァイオリニスト、ジネット・ヌヴーの映像を見ることが出来るという理由から思い切って購入しました。結果は、場外ホームラン的大当たり! お目当てのジネット・ヌヴーの映像、ショーソンの『詩曲』を弾きながら、指揮者のシャルル・ミュンシュをひたと見つめる眼差しも素敵だったけれど、それ以外の映像も、個性的な名ヴァイオリニストたちの演奏が目白押しなんですね。2時間近く、画面に釘付け状態で、見ていて何度か、涙があふれました。ヴァイオリンに関心のある人はもちろん、クラシック音楽を愛するすべての方に、「これ、すっごくいいですよ」と、おすすめして回りたくなったDVDです。
ハイフェッツ、エルマン、シゲティ、ミルシテイン、フランチェスカッティ、スターン、ティボー、コーガン、オイストラフ、シェリング、メニューイン・・・・・・。彼ら、それぞれの色と個性を持ったヴァイオリン界の巨匠、名匠たちの綺羅星の如き演奏を、その演奏風景とともに見ていく幸せ。本当に素晴らしかった。 なかでも、ロシアが生んだ巨星ダヴィッド・オイストラフの演奏には圧倒されましたね。ショスタコーヴィチの『ヴァイオリン協奏曲第1番』の、大変な集中力と深みをはらんだカデンツァに、「こんなにすげぇヴァイオリニストだったんだ!」と。心から感動しました。オイストラフとメニューインのふたりが並んで弾く、バッハの『2つのヴァイオリンのための協奏曲』も素敵だったなあ。 それぞれの映像の合間に差し挟まれるコメントは、彼ら自身、優れたヴァイオリニストであるイツァーク・パールマン、イヴリー・ギトリス、イダ・ヘンデル、ヒラリー・ハーンといった面々。ヴァイオリニストとして立場を同じくするだけあって、そのコメントは、さすがに慧眼、「なるほど」と思わせるもの。歴史的映像のアクセントとして、ちっとも邪魔にならないばかりか、名ヴァイオリニストたちのスタイルの違いを知る上で参考になりました。 それと、日本語字幕の訳(関口暁子)が的確で、よかったですね。頭にすっと入ってくるこなれた日本語の文章が、好ましかったです。 ヴァイオリン好きには堪らない逸品
貴重なフィルムが数多く収録されています。
ヴァイオリン好きには堪えられない逸品。 イヴリー・ギトリスがメニューイン評して “He was an angel came down on earth.”であると言います。 そして「ハイフェッツは神だがメニューインは天使だ」。 地上に舞い降りたエンジェルに相応しい場所でひとりヴァイオリンを 奏でるメニューイン。メニューイン渾身のシャコンヌが本当に素晴らしい。 続いて、エンド・クレジットに流れるメニューインが奏でる モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第三番の第二楽章。 美しさに泣けてきます。 重宝するDVDです
音高に通ってバイオリンをやっている者です。
このDVDは、沢山の利点があると思います。昔のバイオリニストの奏法や音楽性をはっきりと見ることができ、なおかつ現在活躍中のバイオリニストが、わかりやすく解説してくれます。やはりCDを聴くだけより、実際に見たほうが勉強になります。それは技術面でも、音楽家としての考えなどでも、今まで知らなかったり気づかなかったことがあるからです。 なので、耳、兼目で鑑賞できるこのDVDを強くオススメします♪ ヌヴーのまなざし
このDVD、ずっと欲しかったのですが高い・・・と迷っていた矢先に廉価版が出たので購入しました。
私はクラシックは好きですが、ヴァイオリンの弾き方などは全く分からない素人です。けれども十分楽しめました。 「ヴァイオリンの名手たち」といった演奏家紹介本に必ず出てくる人たちの映像が沢山詰まっています。2時間にまとめられているので曲はぶつ切りで、演奏をじっくり楽しむことは出来ませんがその分色々な演奏家の音色を聞き比べられます。 第1部で面白かったのは、9人のメンデルスゾーンの協奏曲をつないでいる部分。(オイストラフ、スターン、フェラス、クライスラー、ミルシテイン、グリュミオー、ハイフェッツ、エルマン)それぞれの音色の違いが良く分かります。 第2部ではなんといってもヌヴーの映像です。ショーソンの詩曲の演奏部分、1分ほどの映像なのですが指揮者を見るヌヴーのまなざしの強さに感服しました。こんなまなざしであのブラームスとかも弾いていたのか・・・と。 そのほかに、オイストラフのフランクのソナタ、ショスタコーヴィチ協奏曲カデンツァやメニューインのシャコンヌなど、個人的に嬉しい映像もありました。 ART OF ART
素晴らしき演奏家というものは言葉でさえ美を描くものか。ギドリスの言葉はまるでメニューインそのもの。神童マイケルレビンと幼きリッチの映像が残っているとは奇跡です。イザイがシルクハットをかぶり馬車から降りてくる映像はパガニーニの亡霊のよう。奇想曲24番のピチカートシーンを見れば、パガニーニはやはり悪魔に魂を売っています。若きハイフェッツの映像の凄まじさには腰が抜けました。何度見ても全てに感動です。私は毎日見ています
アート・オブ・ヴァイオリン [DVD]を見てみる
クリエーターは「オムニバス(クラシック)」「ブリューノ・モンサンジョン」です。 この商品を買った人は他にも「アート・オブ・ピアノ-20世紀の偉大なピアニストたち- [DVD]」、「ヴァイオリン各駅停車―Guide to the violin」、「ハイフェッツ・オン・TV(完全版) [DVD]」、「ヴァイオリン演奏のコツ」、「モーツァルト : ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調」、などにも興味を持っています。 〈謎(エニグマ)〉~甦るロシアの巨人 [DVD]
レビュー ![]() リヒテルの音楽との対し方、その音楽の孤高の輝きが、ひしひしと感じられるドキュメント映像です
ネイガウスに師事した青年時代から、幾多の優れた音楽家との出会い、世界的な活躍と賞賛、「リヒテルという人は消え、ただその見事な音楽だけが在る」とでもいった晩年の境地まで、偉大なるピアニスト、スビャトスラフ・リヒテル(1915-1997)の足跡をたどっていくドキュメンタリー。リヒテルその人と妻ニーナのふたりのコメントを挟みながら、興味深く、見ごたえのあるリヒテルの演奏風景などの映像が展開されていきます。
まず胸打たれたのは、音楽そのものと向き合うリヒテルの、真摯で謙虚な姿でした。日記の記述を見ながらインタビューに答えるリヒテルの話を聞きながら、あれほどの名声とは裏腹に、ひとり、凛として音楽を奏で、歌っていく天才ピアニストの凄さ、素晴らしさがひしひしと伝わってきて、しんとした思いに包まれたのです。 初々しい若さにあふれていた青年リヒテルの姿。プロコフィエフやショスタコーヴィチといった大物作曲家との映像、とりわけ、英国の作曲家ブリテンと、モーツァルトのピアノ連弾曲を録音した際の映像、リヒテルを賛嘆の眼差しで見やるブリテン。ヴァイオリンのオイストラフや、リート歌手のフィッシャー=ディースカウとの競演など、歴史的な音楽シーンの数々の魅惑。全部で二時間半の映像の中に、深い輝きに満ちた音楽の宝物が、ぎゅっと詰まっているんですね。感動しました。 おしまいに、この映像に登場した、こちらも偉大なふたりのピアニストのリヒテル讃。 <信じられないほどの素晴らしさだった。ピアノのあんな響きは、聴いたことがない> アルトゥール・ルービンシュタイン <技巧そのものにはあまり関心を向けない。自己と楽曲の運命的な絆を重視し、聴衆を幻想世界に巻き込んでいく。重要なのは演奏ではなく、音楽そのもの。現代、その最も優れた例が、リヒテルだ> グレン・グールド リヒテルが自ら語る真実
リヒテルの死の翌年に公開された貴重なインタビュー〜ドキュメンタリー調の映画です。
2部構成となっており、前半は彼の生い立ちをメインとし、 後半は親交のあったミュージシャン達にまつわる貴重なエピソードも収められています。 最晩年のリヒテル自らが語る一言一言は実に重く、ついつい涙腺が緩んでしまいます。 政治的抑制に屈する事無く、純粋に音楽と共に生き抜いた彼の生々しい言葉・表情、 そして数々の貴重な映像から我々が学ぶべきことは実に多いです。 特に口にはされていませんが、彼が最も望んでいたのは「平和」だったのではないでしょうか… 全体としてあまりにもシリアスなつくりのため、このDVDを観て以来、 シューベルトのピアノソナタ第21番の第2楽章を聴くと胸が締め付けられてしまいます。 リヒテルの音楽に一度でも共鳴したことがある人には是非観ていただきたいと切に思います。 リヒテルへの感謝・畏敬の念が永遠となることでしょう。 そして、自分に厳しく他人に優しいリヒテルの愛を感じてほしいです。 あの時代を生き、弾いたということ。
晩年のリヒテルがインタビューされて、生涯をふりかえる、という構成。途中で奥さんが出てきたり、師匠が語り始めたり、おもしろいです。ものすごい名演もちょこちょこ挟まれつつ、海の映像なんかも挟まれつつ…体制とか権力とかそういう世俗的なものから極力離れて生きた、リヒテルに寄り添い共感できる内容になっています。映画としても、おすすめかもしれません(ストローブ=ユイレとか小津安二郎とかいけちゃう人は)。
演奏家(またその生き方)にとって、印象的な言葉もぎっしり詰まっているすてきなDVDだと感じました。 エニグマ(謎)を解く!
リヒテル様・死の直前のインタビュー!
今までの沈黙を破り、よく話す気になったものです。 20世紀の貴重映像をまじえ、 本人の口から、 衝撃の生い立ちや交流のあった音楽家の話が聞けます。 リスト役で出演した映画の話は面白かったし 、奥様とのなれそめも面白かった。 しかしインタビューが終わりに近づくにつれ、 世紀の大巨匠のイメージから離れ、1人の淋しい老人の姿になっていきます。 ご本人が「もう引退だよ」とつぶやき 「自分が気に入らない、フショー(終わり)」 が最後の言葉です。 涙なくしては見られませんでした。 エニグマ、一生大切にします! 映像も構成も素晴らしい!彼の演奏も効果的に配置されています。 ドイツ人リヒテルの悲劇と栄光
リヒテルが、何度目かの日本公演で日本を訪れたの事である。或る場で、リヒテルが、「私は、ドイツ人だ。」と言った事が有った。それは、極く少人数の人々しか居ない場で、リヒテルが、不意に口にした言葉であった。私は、その時、その場でその言葉を聞いた人物から、リヒテルが「私はドイツ人だ」と言ったと聞かされ、何か複雑な事情が有る事を察した。しかし、当時は、ソ連時代で、リヒテルのルーツは、彼の数度に渡る来日にも関わらず、ゴルゴ13のルーツと同様、謎(エニグマ)だったのである。(1970年代には、リヒテルは、ユダヤ人だと言はれる事すら有った。)
このドキュメンタリーを見て、私は、リヒテルのその言葉−−「私は、ドイツ人だ。」−−に籠められた悲劇を知った。ドイツ人であったリヒテルの父は、第二次大戦中、ドイツへの協力者と見なされ、ソ連の手で処刑されて居たのである。 そして、その、ドイツの協力者として処刑された父を持ったリヒテルが、その後、スターリン時代のソ連において、20代にして、プロコフィエフの2つのピアノソナタの初演者に選ばれ、ソ連を代表するピアニストと成ったと言ふ彼の人生は、数奇と呼ぶ他は無いものである。 リヒテルは、同時に、ロシアを深く愛して居た。−−リヒテルが初来日した際、彼が演奏したあの『展覧会の絵』は、彼のロシアへの深い愛情無しには考えられない芸術である。そんな彼のアイデンティティーには、20世紀と言ふ世紀の悲劇と栄光が、凝縮されて居る。 (西岡昌紀・内科医/ヨーロッパの大戦終結から61年目の5月に)
〈謎(エニグマ)〉~甦るロシアの巨人 [DVD]を見てみる
クリエーターは「リヒテル(スヴャトスラフ)」「ブリューノ・モンサンジョン」です。 この商品を買った人は他にも「ソフィア・リサイタル」、「ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第17番」、「リヒテルは語る―人とピアノ、芸術と夢」、「アート・オブ・ピアノ-20世紀の偉大なピアニストたち- [DVD]」、「シューベルト : ピアノ・ソナタ第21番」、などにも興味を持っています。 太陽への窓 [DVD]
レビュー ![]() 偉大なヴァイオリニスト!知りたかった人生がここにあります。
ソ連の「奇跡のヴァイオリニスト」と称えられたオイストラフ。クライスラーとハイフェッツを尊敬していたことが知られている。
息子のイーゴリ氏がこの中で語っているように、「ラジオを聞いただけで誰が弾いているのか、わかるヴァイオリニストは5人ほどしかいない。」 決して派手な演奏ではないのに、強くひきつけられるその音は忘れられません。 厳しい環境のなかで、美しい演奏を続けることのできた強い意志をもった、素晴らしいヴァイオリニストの一生を、名監督ブリュノ・モンサンジョン氏の映像でご確認ください。
太陽への窓 [DVD]を見てみる
クリエーターは「ダヴィド・オイストラフ」「イーゴリ・オイストラフ」「キリル・コンドラシン」「ユーディ・メニューイン」「ギドン・クレーメル」「ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー」「スヴャトスラフ・リヒテル」「ヴァーツラフ・フデチェク」「ブリューノ・モンサンジョン」です。 この商品を買った人は他にも「アート・オブ・ピアノ-20世紀の偉大なピアニストたち- [DVD]」、「David Oistrakh: The Complete Recordings [Box Set]」、「オイストラフ/コンチェルト・コンプリート [DVD]」、「アート・オブ・ヴァイオリン [DVD]」、「ハイフェッツ・オン・TV(完全版) [DVD]」、などにも興味を持っています。 ぼくはエクセントリックじゃない―グレン・グールド対話集
聴衆の前で演奏するのをやめてレコーディングに専念したことも、極端に低い椅子に座ってピアノを弾くことも、冬ではないのに手袋をはめていることも、みんなグレン・グールドにとっては自然なことだった。数々の伝説につつまれた個性派ピアニストが、ジャーナリストや放送プロデューサーによるインタビュー、バイオリンの巨匠ユーディ・メニューインとの対話で、自己をたっぷりと語っている。 本書に収められた最も早い時期のインタビューは、カナダの日刊紙「スター・オブ・トロント」1959年3月28日号のためデニス・ブレイスウェイトがまとめたもの。そして一番最後の発言は、アメリカのジャーナリスト、デイヴィッド・デュバルの質問に答えるための下書き原稿で、グールドの死後見つかった。グールドが質問に答える態度に、奇人を思わせることろはまったくない。挑発的な質問にも冷静に答え、ユーモアを忘れない。ブルックナーの弦楽五重奏曲についてはこんなことを言っている。 本書の半分に近い分量は、編者によって「ヴィデオ座談会」と名付けられた架空の記者会見に充てられている。グールドが実際に行ったいくつかのインタビュー、映像作家である編者がグールドと一緒に作った映画からの断片や個人的会話などを素材に、10人のジャーナリストとグールドがテレビ電話で話し合うという体裁にまとめられたものだ。グールドの能弁さに圧倒される。(松本泰樹) レビュー ![]() グールドのファンだけでなく音楽を愛するすべての人へ。
天才と言われるのにうんざりする、彼はそう語る。
その突出した音楽の才能だけでなく、彼の音楽が知によって創造されているということがこの一冊でよく解る気がする。50歳の誕生日を迎えたばかりの日で、何の前触れも無くこの世を去ったグレングールドという人物のことを私は何一つ解ってはいなかったのだとこの本を読んで感じた。 死して尚、彼の生命力、情熱を感じることが出来るのは必ずしもCDやレコードだけではないと思う。音楽ではない「言葉」で彼の語る彼自身を、彼の中を流れる静かで激しい情熱を、グールドを愛する人、そして音楽を、ピアノを愛する全ての人に是非とも読んでほしい。
ぼくはエクセントリックじゃない―グレン・グールド対話集を見てみる
クリエーターは「ブリューノ モンサンジョン」「粟津 則雄」です。 この商品を買った人は他にも「バッハからブーレーズへ グレン・グールド著作集」、「ザ・グレン・グールド・コレクション [DVD]」、「Glenn Gould: The Ecstasy and Tragedy of Genius」、「グレン・グールド 27歳の記憶 [DVD]」、「グレン・グールドの生涯」、などにも興味を持っています。 リヒテル
生前、リヒテルは本格的なインタビューに全く応じなかった。たった1回の例外を除いて。ジャーナリズムが持つ皮相的な視点によって、彼の芸術の表層のみが強調されることを忌避したのだろう。旧ソ連のピアニズムの最高峰にあったこのピアニスト(こういう言い方をこそリヒテルは最も嫌ったに違いない)は、なかなか西側に姿を現さず、また出自、教育過程などが不明で、まさにジャーナリズムが言う「幻のピアニスト」だったのだ。 唯一の例外的なインタビューが、映像作家のモンサンジョンによってリヒテル最後の2年間に行われたものであり、それをリヒテルによる一人称形式に編集したのが本書である。父の銃殺、そのことに母の再婚相手が関わっているらしいこと、名教授ネイガウスとの出会いなど、彼の人生の激動が彼自身の口から語られているのは貴重だ。しかしそれらの衝撃的な事実さえも、あるいはリヒテルの芸術にとっては皮相的なことに属するのかもしれない。そう感じさせる何物かが、このインタビューの背後に見える。リヒテルにとっては、たとえば、それらの事実が起こったときに感じた春の匂いなどのほうが、はるかに真実なのだ。しかしその点への視点は、モンサンジョンには不足している。 本書の後半はリヒテルが他人のコンサートを聴いた批評や自らの録音への感想をつづった音楽ノートだが、この部分には彼の音楽観が十全に表れており、文句無しにおもしろい。(梅津時比古) レビュー ![]() マエストロの孤独
リヒテルの音を聴くたび「抑制されたダイナミズム」という言葉が浮かぶ。おのれの中で激しく渦巻くものを、冷静に見つめている姿がある。で、リヒテルとはだれだったのか?ドイツ人の父をスターリンの粛清で失った悲劇の人?亡命を恐れた当局に長らく西側公演を禁じられた「幻の巨匠」?前半は本人のインタビューを一人称でまとめた回顧録。時代のきしみの中で、リヒテルがどう音を紡いでいったかを知る手がかりがある。そして後半は、リヒテルが長年綴った「音楽備忘録」。自己の演奏への過酷なまでに突き放した分析や同時代への演奏家への辛辣な評が、しごく端的に記されている。マエストロと呼ばれた男の肉声は、その語り口がたんたんとしているだけに、悠々とした響きがする。
リヒテルを見てみる
クリエーターは「ブリューノ モンサンジョン」「Bruno Monsaingeon」「中地 義和」「鈴木 圭介」です。 この商品を買った人は他にも「〈謎(エニグマ)〉~甦るロシアの巨人 [DVD]」、「リヒテルは語る―人とピアノ、芸術と夢」、「リヒテルと私 河島みどり 著」、「ソフィア・リサイタル」、「チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調/ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調」、などにも興味を持っています。 |