ハピネス(字) [VHS]
レビュー ![]() 悪趣味ではあるけれど・・・・
相変わらず悪趣味です、監督。この人は「真性」だと思う。
俳優らしさや華のまったくない人達をよくこれだけ見付けてこれるもんです。 『アメリカン・ビューティー』から、階層をちょっと下に持っていってアクを強くしてみましたというお話でしょうか。 「自分らしく、自分の欲求に正直に生きていきなさい」という考えを、鼻でせせら笑うような映画。 自分の欲求など素直に他人に見せつけたら、先に待つものはほとんど自己嫌悪や他からの非難であったりするって事を「ケッ」って言葉と共に叩き付ける。 でも、そんな性を抱えつつ「それでも人は生きて行く」「そして人生は続く」・・・・『ウェルカム・ドールハウス』と同じような主題に行き着く。 親子の会話に笑って、小ネタに笑って、でもなにか心の中にどよよんとした物が妙に残り、私は彼の次の作品を待ちわびてしまうのです。 嗚呼、シアワセって。
シアワセって一体なんでしょう? そんなの人によって違うのは当たり前なのですが、他人から見ると、えっ?それでいいの?なんて思ってしまうことも、その人にとっては、「まぁしあわせ。」なのかもしれません。
ここには、そのシアワセにあと一歩届かないある一家がいて、彼らの周りにもまたシアワセを手に入れることの出来ない人たちが、そのどこか悲しく寂しい日常を見せてくれます。皆が幸せを望んでいるけれど、なぜかHAPPINESSを手に入れることが出来ず、どちらかと言えばSADNESS(?)に向かってしまう彼ら。嗚呼、シアワセって? 彼らに幸多かれ!!! 他人の不幸を笑うのはよくないけど、なんだかクスクス笑ってしまいます。
その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション [DVD]
レビュー ![]() 監督の力で名優が集まったかも‥
痂をそうっとはがしていって、最後に一気に引っ張ったら、血がドバッとでちゃった‥‥そんな感じの作品です。ドラマ好きにはお勧めです。A.フィニーに久々に会えた事にも満足、満足。40年前は、ヨーロッパいちのセクシー男優でしたから。イーサン・ホークは、もっと若い頃は、周囲から随分期待されていたのに、いま一つ伸び悩んでいたような気がしていましたが、これで一つの方向が定まった様な気がします。
まるでギリシア悲劇のような
シドニー・ルメットってまだ生きてたの?どれどれ、と邪な興味で観て、反省。
ごめんなさい。私が間違っていました。 83歳でこんな映画撮っちゃうルメット翁に拍手喝采。雀百まで踊り忘れず。 あれよあれよと雪崩をうって破滅へまっしぐら、次第に明らかになる近親憎悪、雪だるま式に膨らんでいく自業自得と不条理は、いわば現代のギリシア悲劇。 原題の "Before the Devil Knows You're Dead" は秀逸ですね。邦題も珍しくカッコいいけど。 本当の悪魔は、悪魔に魂を売ったのは誰だったのか。 「大人の映画」「映画らしい映画」が観たければ、ぜひ。 お子様は遠慮してね。R-18だし。 見て損は無い名作。
ストーリーの面白さと、素晴らしい俳優の演技で、一瞬も画面から目がはなせなかった。「ノー.カントリー』
よりこっちの作品の方が、アカデミー作品賞にふさわしいと思う。重い内容だが、見終わった後の充足感は 最高! 予想外の展開が面白いが……
コーエン兄弟が撮っていれば、もっと面白くなったと思う。シドニー・ルメットは真面目すぎる。演技陣は、みな熱演だが、美青年イーサン・ホークの変わりようにびっくり。主人公が、どんどんドツボにはまっていく展開はハラハラさせるが、あの結末には納得がいかない。
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レビュー ![]() “疑惑”という魔物をあぶり出す
見どころはなんといっても、火花飛び散る演技合戦。米アカデミー賞で主要キャスト4人全員がノミネートされたの納得です。ストーリーの展開にドキドキしながらも、この演技合戦を楽しみましょう。
テーマを浮かびあがらせるのは、1964年という時代設定がキーポイントですね。 映画は、カトリック学校という閉ざされた世界で生きてきたアロイシス校長(メリル・ストリープ)と、教会を渡り歩き進歩的なフリン神父(フィリップ・シーモア・ホフマン)。二人の生き方を対比させて描いてゆきます。 すべてに白黒を付けた世界を望むシスター・アロイシスに対し、フリン神父はグレー・ゾーンと折り合いを付けている。価値観が単純だった旧時代から、より複雑な新時代へ。ケネディ大統領暗殺や公民権運動の高まりを経験し、転換期にあったということで、舞台設定としてこの時代を選んだのでしょう。 シャンリィ監督自身が明言するように、これは、大量破壊兵器所持疑惑で戦争を始め、証拠もないまま犠牲者を出し続けたアメリカの醜態を照射するものです。人を疑った先にあるのは、疑いを持つ自分さえも疑う泥沼の苦しみ...。 目撃者も証拠もない“疑惑”という魔物。信念だけで立ち向かうシスター・アロイシスの姿は、今のアメリカ社会の映し鏡のようです。人の心に潜む猜疑心の怖さ、弱さを見事に描き出しているといえます。 色々考えさせられる映画でしたが、シスター・アロイシスの傲慢さたるやホントに凄まじかったです。なんてたって「私には分かる。私にだけは分かるのです!」ですからね。こんなオバサンに目を付けられたら本当に恐ろしいですよ。関わらないでいられたらそれに越したことはないですね。(苦笑) 骨太のシナリオ、迫力あるセリフの応酬。
もともとは、優れた舞台劇。隙間が無く、深いセリフ。何よりも、ラストのセリフ。あれよあれよと言う間にどんどん広がって行ったこの物語のテーマを一気に集約し収斂して見せる彼女のあの深い深い、でも本当に短いセリフを、これほど完璧に口にして、演じて見せることのできる俳優は、そうあるまい。日本の舞台役者では、・・・草笛光子以外に、いったい誰が・・・。
また、フィリップ・シーモア・ホフマンは、いろんな映画に出てくるが、ここまで正統派のセリフ勝負ができる役者さんだとは思わなかった。 終盤の、メリル・ストリープとの掛け合いは、これぞ本格的なセリフの応酬。力ある役者同士が全力で勝負すると、こういう場面が出来上がるのだという名場面。映画俳優というより、舞台役者同士の、最高の腕比べが見られます。武器はセリフ。ただそれだけ。 いい映画、感動的な映画、・・・。どちらでもない。 でも、人間存在の奥の奥まで覗いて、信念を持つ者の誰もが自らに抱く、多くの「ダウト・疑惑」を問いかける、迫力ある戯曲。これはもう、とてもよく出来た古典文学を読むような体験ですらある。 そして、くどいけれど、どうか、二人のセリフを堪能されたい。もうそれだけのためにも見てください。本当に素晴らしいんです。かっこいいくらい。真似してみたくなるくらい。 そして、「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープが、ここではこのような老醜を惜しげもなくさらして、この役を演じる。で、・・・よそでは、「マンマ・ミーア」もやっちゃうんでしょ、この人。 参りました。すごいよ、アンタ・・・・。 ひれ伏すしかない気持ちになります。
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